政策 1 背後圏産業の発展を支えるみなと・四日市港づくり
 
この政策が目指す四日市港の将来像
 
中部圏における国際ゲートウェイとしての役割を果たし、多くの荷主企業から頼りにされ、信頼され、どんな時でも物流機能が確実に確保される安全・安心なみなと
 
施策及び事業
 
施策 101 産業の国際競争力強化に資する港湾サービスの提供
 
目 的 対 象 四日市港において提供される港湾サービスが
意 図 背後圏産業の活動を支えている
施策目標
項  目
総取扱貨物量 目 標 値 6,200万トン
現 状 値
(2010年)
<速報値>
5,883万トン
〔施策目標項目の説明〕
四日市港において1年間(1月〜12月)に取り扱った海上出入貨物の総量(重量ベース)
 
現状と課題
 
 四日市港は、コンテナのみならず、バルク貨物や完成自動車も大量に取り扱い、背後圏の産業を物流面から支え、国際競争力を強化していくという重要な役割を担う総合港湾として、官民協働による戦略的なポートセールスの推進、コンテナくん蒸施設や完成自動車のモータープールの整備等、様々な取組を進めてきました。また、2004年には、名古屋港と共にスーパー中枢港湾に指定され、霞ヶ浦北ふ頭国際海上コンテナターミナルや共同デポの整備、夜間におけるゲートオープン時間の拡大、創意工夫をこらした運営を行う民間事業者(メガターミナルオペレーター)への長期貸付等を進めてきました。
 しかし、「全国輸出入コンテナ貨物流動調査(2008年11月の1ヶ月間、国土交通省港湾局)」によると、三重県内の輸出入コンテナ貨物における名古屋港利用率は64.3%に達する一方で、四日市港の利用率は28.8%にとどまっています。
 経済のグローバル化が進展し、国内外において港湾間競争が激化していくなかで、四日市港は生き残りをかけて、コンテナのみならず、バルク貨物も含めた総合港湾として、背後圏の産業を支える港としての役割を今後もしっかりと果たしていかなくてはなりません。
 そのため、国の政策展開に対して的確に対応するとともに、名古屋港との連携などによってわが国の経済と産業の成長を牽引する中部地域の産業の国際競争力を支えていくため、「国際産業ハブ港」の実現を目指した取組を進め、伊勢湾としての国際競争力を高めていく必要があります。
 それと同時に、伊勢湾における四日市港の存在価値を高め、小さくてもきらりと光る港として独自性も発揮していくためには、顧客のニーズを反映した四日市港独自の取組を行い、港勢を着実に高めていくことがこれまでにも増して重要になっています。
 
施策の取組方向
 
 コンテナ貨物の集荷の拡大については、グリーン物流促進補助制度を活用し、戦略的なポートセールスを展開していくとともに、荷主企業のニーズを踏まえた新規航路の開拓など、航路サービスの充実により、荷主企業の利便性向上を図ります。
 船社や港湾運送事業者等が荷主企業に対して良質な物流サービスを提供できるよう環境整備を行います。また、四日市地区及び霞ヶ浦地区の役割分担を検討し、効率的な再配置を順次進めるほか、今後大型化していく船舶への対応を考慮して、既存港湾施設能力の増強や新たな港湾施設の整備を検討します。さらに、港湾利用コストの低減に向けた取組を進めるなど、港湾競争力の強化を図ります。
 伊勢湾スーパー中枢港湾としての取組や国際コンテナ戦略港湾への対応を通じて名古屋港との連携を進めてきた経緯を踏まえ、一港化を視野に入れて、一開港化、広域集荷、港湾運営の民営化などの具体的な連携施策を検討し、可能なものから実施に移すことで、中部地域の製造業の集積と伊勢湾の港湾機能の総合力を活かした「国際産業ハブ港」の実現を目指します。
 
事 業
10101
集荷対策の促進
目 的 対 象 四日市港の背後圏に立地する企業の多くが
意 図 四日市港を利用している
事業目標
項  目
外貿コンテナ貨物取扱量 目 標 値 240,000TEU
現 状 値
(2010年)
<速報値>
170,561TEU
〔事業目標項目の説明〕
 四日市港において1年間(1月〜12月)に取り扱った外貿コンテナ貨物の量(20フィートコンテナに換算したコンテナの個数)
※ポートセールス活動は主に外貿コンテナ貨物の集荷促進を目的に行われていることから外貿コンテナ貨物の取扱量を目標指標としています
 
事業の概要(主な取組)
 
戦略的なポートセールスの展開
 企業訪問やセミナー等を実施し、四日市港利用のメリットをPRするとともに、そうした機会を通じて入手した企業情報等について調査・分析を行い、ターゲットを絞り込んだ提案型のセールス活動、三重県・四日市市の企業誘致・産業施策等と連携したセールス活動、四日市港の認知度向上のための専門紙への広告宣伝などを行っていきます。
 こうした集荷対策を、港運企業などパートナーとの協働のもとで展開することにより、県内及び港湾間競争の激化が予想される滋賀県を中心に既存荷主の利用拡大と新規荷主の開拓を図っていきます。
   
グリーン物流の促進
 荷主企業から好評を得ているグリーン物流促進補助制度を継続実施し、物流コスト縮減と環境負荷低減の両面から四日市港利用を働きかけていきます。
   
航路サービスの充実
 現在開設されているアジア域内の外貿コンテナ定期航路サービスについて、港運企業や船社とも連携しながら取扱量の拡大に取り組み、荷主企業にとって利便性が高く安定した航路サービスとします。
 また、荷主企業のニーズの高い北米航路、四日市港利用率が比較的低くなっている華北・華中航路等について、「航路誘致補助金」を活用するなど、新規航路開設に取り組みます。
 
事 業
10102 
港湾活動支援サービスの提供  
 目 的  対 象  四日市港における港湾活動が  
意 図   増大し、かつ、適切に行われるよう良質なサービスが提供されている  
事業目標
項  目
港湾施設の利用率 目 標 値 80%
現 状 値(2010年度) 77%
〔事業目標項目の説明〕
荷さばき地、上屋及び野積場等にかかる利用率(100%使用されたときの使用料収入に対する使用料収入実績の割合)
 
事業の概要(主な取組)
 
港湾荷役にかかる支援と港湾施設の有効活用
 港湾ユーザーが行う荷役作業に対し、港湾施設(上屋、荷さばき地等)を適切に提供し、荷役作業が安全・効率的に行われるよう支援します。また、使用施設(荷役場所等)に係るユーザー間調整やユーザーニーズに的確に対応することにより、既存港湾施設の運用における効率の最適化に取り組みます。
   
港湾利用船舶にかかる支援
 けい留施設の使用に関して適正な船席の指定を行うとともに、ひき船サービスなどの各種サービスを提供・斡旋することで、四日市港に入出港しようとする船舶の活動が、効率的かつ安全に行われるよう支援していきます。
   
港湾運営の民営化の推進
四日市港においては、スーパー中枢港湾の取組として、YCT(四日市コンテナターミナル株式会社)をメガターミナルオペレーターに指定しているところですが、今後更に質の高い港湾サービスを提供するため、港湾の運営に関する業務に民の視点を取り込み、港湾の一体的な運営を実現することを検討するなど、港湾運営の民営化を推進する方向で取組を進めます。
   
港湾利用コストの削減
 四日市港の利用にかかる港湾物流のコストが、より低廉なものとなるよう、伊勢湾連携、港湾運営の民営化の検討の状況も踏まえつつ、入港料や港湾施設使用料等の減免など、官民協働により、港湾利用コストの削減に取り組みます。
   
港湾諸手続きIT化の推進
 四日市港管理組合の港湾情報システムと、国のNACCSシステムとの連携を強化し、港湾ユーザーにとってより利用しやすいワンストップサービスの実現に向け取り組みます。
 
事 業
10103
港湾施設の整備
目 的 対 象 四日市港における新たな港湾施設の整備が
意 図 進捗している
事業目標
項  目
新たな荷さばき地、港湾関連用地の整備着手 目 標 値 2箇所
現 状 値
(2010年度)
〔事業目標項目の説明〕
新たに荷さばき地、港湾関連用地の整備に着手する箇所数
 
事業の概要(主な取組)
 
新たな荷さばき地、港湾関連用地等の整備
四日市港における貨物取扱能力の拡充・強化に向け、コンテナ貨物等の重量貨物に対応可能な荷さばき地を浜園地区において整備します。また、港湾関連用地等については霞ヶ浦地区において整備に向けた検討を進めます。
臨港地区における土地利用
 港湾ユーザーや荷主企業の多様なニーズに対応できるよう、霞ヶ浦地区北ふ頭の港湾関連用地、石原地区など、物流の高度化や企業立地の面で積極的な活用が期待される場所における土地利用について検討を進めます。
霞ヶ浦南ふ頭22・23号岸壁の機能強化
 石炭船等のバルク船の大型化に伴う機能強化が必要な22・23号岸壁について、企業ニーズを踏まえた機能強化(増深等)に向けた対応を検討します。
霞4号幹線の整備
 四日市港の国際競争力の強化と背後地域経済の一層の発展、周辺の環境負荷軽減に欠かすことのできない霞4号幹線の早期供用に向け、事業主体である国と協力し、地元説明会の開催や関係行政機関との協議を引き続き行います。
国際海上コンテナターミナルの整備
 四日市港における今後の外貿コンテナ貨物取扱量の増加に対応するとともに、地震時においてもコンテナ物流機能を維持するため、四日市港港湾計画に位置づけた新たな国際海上コンテナターミナル(81号岸壁)について、外貿コンテナ貨物取扱量の動向を見極めながら、整備に向けた諸準備を進めていきます。
 
事 業
10104
伊勢湾連携の推進
目 的 対 象 四日市港及び名古屋港が
意 図 連携施策を進め、伊勢湾の魅力を高めている
事業目標
項  目
港湾運営会社制度の導入 目 標 値 2014年度中に
特例港湾運営会社
の指定を受ける
現 状 値
(2012年度)
〔事業目標項目の説明〕
法改正で導入された港湾運営会社制度を活用して港湾コストの削減、利便性の向上を図る。
 
事業の概要(主な取組)
 
伊勢湾連携施策の推進
 伊勢湾連携協議会の活動を通じて、関係者間で情報を共有しつつ、引き続き、伊勢湾のサービス向上に取り組むとともに、社会経済情勢の変化に対応すべく、伊勢湾連携協議会に設置した研究会で、今後、伊勢湾で取り組むべき施策を検討するなど、関係者と連携した取組を進めます。
港湾運営会社制度の導入
 伊勢湾に国際戦略港湾と同等の港湾運営会社制度が適用されたことから、同制度を活用してコンテナターミナル運営の効率化を図り、港湾コストの削減、利便性の向上を目指します。
 このため、先ずは、2014年度中に四日市港において特例港湾運営会社の指定が受けられるよう取り組みます。
一開港化に向けた取組
 荷主にとって、輸送時間の短縮、コスト削減などが図られ、利便性の向上につながる伊勢湾における一開港化については、名古屋港と四日市港の間の船舶交通流の増加などの条件を整えるため、引き続き、両港で港湾サービスの向上等に取り組みます。
施策 102 港湾活動の安全・安心の確保
 
目 的 対 象 四日市港における港湾活動が
意 図 利用者にとって安全・安心なものとなっている
施策目標
項  目
港湾施設において発生した事故の件数 目 標 値 0件
現 状 値
(2010年度)
0件
〔施策目標項目の説明〕
公共港湾施設の管理が不適切であったことに起因して、船舶運航、港湾荷役活動等の安全性に悪影響を与えたことによる事故の発生件数
 
現状と課題
 
 四日市港には、整備後数十年を経た港湾施設が数多く存在するなど、老朽化が進んでいます。これまでも、優先度を勘案しつつ維持補修を行ってきたところですが、維持・更新費用は今後さらに増大していくことが見込まれます。
 そのため、今後は、壊れてから修繕するだけでなく、性能低下を事前に防止する予防保全型の計画的な維持管理によって、長期にわたり低コストで有効活用する工夫が必要となってきます。
 海域においては、万一、船舶の衝突・座礁、油流出などの事故が発生すると物流機能にも大きな影響を及ぼすうえ、撤去、復旧等に多大な労力と費用を要することになります。関係各位の努力もあり、近年は大きな事故は発生しておりませんが、今後も、貨物の価値が損なわれたり、港湾ユーザー等が生命・財産の危機にさらされることがないように、船舶が安全に入出港できる環境を維持していくことが必要です。
 国際貿易港である四日市港は、国際犯罪、テロ行為などの発生を防止するため、改正SOLAS条約に対応した国際ふ頭施設及び国際水域施設への保安対策を厳重に実施してきました。また、2008年度に強毒性に対応した新型インフルエンザ対策行動計画を策定し、2009年4月から弱毒性の新型インフルエンザが流行した際には、港湾機能への影響を最小限にとどめるべく、関係機関との情報共有も含め、適切に対処してきました。
 今後も事故、事件等の発生を未然に防ぐことはもちろん、万一、事故、事件あるいは自然災害や感染症等が発生しても港湾活動への影響を最小限にとどめるよう危機管理体制を常に万全にしておかなくてはなりません。
 
施策の取組方向
 
 岸壁、荷さばき地、上屋等について老朽化が進む中、全体の優先順位に留意しながら、維持管理計画に基づいて適切な維持管理や補修に取り組むことで、施設の長寿命化を図り、常に良好な状態で利用者に提供するよう努めます。
 船舶が安全に入出港できるよう、巡視等による事故防止措置、沈廃船の発生抑止、漂流物・海底異物等の除去その他の日常的な取組を継続するとともに、放置艇対策を推進します。また、航路・泊地等のしゅん渫についても、計画的に実施していきます。
 改正SOLAS条約に対応した港湾施設の保安対策を引き続き実施するとともに、関係機関・団体と連携した保安体制の充実を図り、四日市港内における国際犯罪・テロ行為等の未然防止に努めます。
 近い将来発生が危惧される東海・東南海・南海地震の発生に対して、四日市港が迅速な対応を取れるよう、中核となる物流機能の維持、早期復旧などを目指した検討を速やかに開始するほか、関係企業や行政機関との連携、訓練の実施などにより、危機管理体制の実効性を確保します。
 
事 業
10201
港湾施設の計画的な維持管理
目 的 対 象 港湾施設が
意 図 適切に維持管理されている
事業目標
項  目
耐震補強及び劣化対策に着手する上屋等の数 目 標 値 4棟
現 状 値
(2010年度)
〔事業目標項目の説明〕
上屋等に関して、安全・安心を確保するとともに、機能を維持しつつ長寿命化を図るため、耐震補強及び劣化対策に着手する数
 
事業の概要(主な取組)
 
上屋等の耐震補強・劣化対策
 上屋等の安全性の確保と物流機能の維持のため、優先度等を考慮しつつ、耐震補強と劣化対策(長寿命化)を行います。
 また、東日本大震災を受けた国等による耐震基準の変更等があった際には、耐震補強計画を見直すなど早急に対応します。
   
港湾施設の維持管理
 岸壁、荷さばき地、臨港道路等の補修など、港湾施設の良好な状態を維持し続けるため、その優先度等を考慮しつつ、より適切な維持管理と迅速な補修を行います。
 また、けい留施設・橋梁などについては、「維持管理計画」を策定し、それに基づいた点検・補修を実施することで長寿命化を図っていきます。
 
事 業
10202
船舶航行安全の確保
目 的 対 象 四日市港における船舶航行の安全が
意 図 確保されている
事業目標
項  目
四日市地区2号地泊地(−12m)の浅所エリア数 目 標 値 0箇所
現 状 値
(2010年度)
2箇所
〔事業目標項目の説明〕
四日市地区2号地泊地のー12m部分に存在する浅所のエリア数(維持浚渫により、浅所を解消)
 
事業の概要(主な取組)
 
計画的な航路泊地の維持浚渫
 四日市地区2号地等、航路泊地に存在する浅所部分について、計画的な維持浚渫や航路泊地の適正な水深管理を行い、航行船舶の安全性を確保していきます。
港湾施設等の利用にかかる安全管理
 効率的な港湾施設の維持管理を行うため、老朽化し機能が低下している船舶の代替船建造を行い、巡視等を通して港湾施設の状態を把握することで、施設を良好な状態に維持し、万が一異常が生じたときは関連する事故を防止するなど、四日市港の港湾施設の利用にかかる安全性を確保していきます。
放置艇対策の推進
 港湾区域内にけい留されているプレジャーボート等の放置艇が秩序正しくけい留され、地域住民の周辺環境に悪影響を与えることのないよう、四日市港の実情に即した放置艇対策に取り組んでいきます。
 
事 業
10203
危機管理対策の推進
目 的 対 象 四日市港における危機管理体制が
意 図 有事に機能するよう適切に維持されている
事業目標
項  目
地震に関するBCPの策定 目 標 値 2014年度までに
策定
現 状 値
(2010年度)
〔事業目標項目の説明〕
大規模地震の発生を想定したBCP(事業継続計画)を策定し、被災時においても、管理組合の業務が継続できる体制を構築
 
事業の概要(主な取組)
 
港湾における保安対策
 四日市港保安委員会において、海上保安部、警察等の関係各機関との情報共有や、合同テロ対策訓練の実施などにより、四日市港の保安の向上と入出管理の強化を図ります。
 また、改正SOLAS条約に対応したふ頭保安規程及び水域保安規程等の見直しや、それに基づく保安設備の整備・保守点検、訓練の実施や、対象港湾施設への出入管理の実施など、国際ふ頭施設及び国際水域施設への不審者・不審車輌等の侵入を防止することで、四日市港の国際港湾施設における活動の安全性を高いレベルで維持していきます。
   
危機管理体制の充実
 大規模地震発生時における四日市港管理組合のBCP(事業継続計画)の策定に向けた検討を行うほか、危機管理マニュアルに基づく訓練を実施します。
 また、新型インフルエンザなど感染症により、港湾活動に支障を来たすことがないよう、港湾ユーザーなど関係者と情報共有していきます。